開封直後、「偽物かも?」と思った。
箱から取り出したMDR-7506を耳に当て、宇多田ヒカルの「First Love」を再生した瞬間、愕然とした。低音は割れ、高音はキンキン。愛用のWF-1000XM4と比べると、まるで1,000円のイヤホンを聴いているようだった。
「世界標準のモニターヘッドホン」と聞いて期待していたのに、これは詐欺なのか——。
でも、15時間後、世界が変わった。
こんにちは。Mono Drip Journal編集部です。
今回は、世界標準のスタジオモニターヘッドホン「Sony MDR-7506」、通称”青帯”を1週間使い込んでレビューします。単なるスペック比較ではなく、「エージングで育てる過程」と「世界標準を約1万円で手に入れる美学」にフォーカスしてお伝えします。
赤帯(MDR-CD900ST)との違いも明確に解説しますので、どちらを選ぶべきか迷っている方は、ぜひ最後までお付き合いください。
なぜ「青帯」MDR-7506を選んだのか
M2 MacBook Airでモニターヘッドホンが必要になった理由
きっかけは、M2 MacBook Airのスピーカーだった。
空間オーディオに対応し、Dolby Atmosの音源を聴くと空間の広がりに驚かされる。でも、正直に言うと、低音がスカスカで、DTMでまともにミキシングできるレベルではなかった。
夜の11時、仕事が終わってからのDTM作業。スピーカーで音を出すわけにもいかない。
そこで、モニターヘッドホンを探し始めた。
赤帯(MDR-CD900ST)との比較検討
最初に目をつけたのは、MDR-CD900ST——通称”赤帯”。
日本のスタジオで標準的に使われているモニターヘッドホンで、再生周波数帯域は5〜30,000Hz。ハイレゾにも対応している。サウンドハウスでは「殿堂入り」の人気製品だった。
価格は約16,000円。決して高くはない。
カートに入れようとしたその瞬間、画面の下に別の製品が表示された。
ハウジング部分に青いステッカーが貼られたヘッドホン——MDR-7506、通称”青帯”。
正直、その存在を知らなかった。
決め手は「3.5mmプラグ」と「万能型」
調べてみると、MDR-7506は3.5mmステレオプラグが標準装備されている。
M2 MacBook Airのオーディオ端子は3.5mm。つまり、変換プラグなしで直接挿せる。
赤帯は6.3mmプラグが標準なので、変換が必要になる。この「単純さ」が、僕にとっては大きかった。
音質も気になったが、青帯は少し低音と高音が強調された「ドンシャリ傾向」で、リスニングにも使える万能型だという。DTMだけでなく、DJや音楽リスニングにも使いたい僕にとって、これは決定的だった。
価格は約11,000円。世界標準のモニターヘッドホンを、約1万円で。
迷う理由がなかった。
MDR-7506の特徴と仕様
製品スペック一覧
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 型番 | Sony MDR-7506 |
| 通称 | 青帯 |
| ドライバー | 40mm ダイナミック |
| 再生周波数帯域 | 10Hz〜20,000Hz |
| インピーダンス | 63Ω |
| 感度 | 106dB/mW |
| プラグ | 3.5mmステレオ(6.3mm変換プラグ付属) |
| コード | カールコード(約1.2m〜約3m) |
| 重量 | 約230g(コード含まず) |
| 折りたたみ | 可能 |
| 価格 | 約11,000〜12,000円 |
青帯デザインの美しさ
ハウジング外側に貼られた「Professional」と書かれた青いステッカー。
これを眺めているだけで、所有欲が満たされる。
黒を基調としたシンプルなデザインに、青帯がアクセントとして効いている。ヘッドバンドにはきめ細やかな皮が採用されていて、触れるたびに「ちゃんとしたモノを持っている」という満足感がある。
デザインは、10年後もこのまま美しいだろう。流行を追わない、時代を超えて残る形。
カールコードと3.5mm/6.3mmプラグの便利さ
1週間使っていると、じわじわとカールコードの良さが目立ってくる。
夜の作業中、部屋の端に置いてあるギターを取りに行くとき。ヘッドホンを外さなくても、カールコードがするすると伸びて、そのまま移動できる。
ストレートコードだったら、いちいち外さないといけない。この「小さな便利さ」が、長く使うほど効いてくる。
3.5mmプラグはM2 MacBook Airに直挿し。6.3mm変換プラグはスクリュー式で、オーディオインターフェースやギターアンプにも対応する。
この単純さを、MDR-7506は分かっている。
エージング体験:開封直後から15時間後まで
衝撃の開封直後——期待を裏切る音質
冒頭でも書いたが、開封直後の音は本当にひどかった。
宇多田ヒカルの「First Love」を再生した瞬間、「これはあかんて」と思った。
愛用のWF-1000XM4で聴き慣れているこの曲。鮮明さも明瞭さも、まるで欠けている。低音は割れ、高音はキンキン。1,000円のイヤホンと変わらないんじゃないか——。
正直、「偽物を掴まされたのでは?」と不安になった。
15時間のピンクノイズ再生
でも、レビューを調べてみると、「MDR-7506はエージングが必須」という情報がいくつも出てきた。
半信半疑だったが、試してみることにした。
ピンクノイズを15時間再生。その間、ヘッドホンは机の上に置いたまま。特別なことは何もしない。ただ、音を流し続けるだけ。
15時間後、再び「First Love」を再生した。
一皮剥けた「本当の青帯」の音
——別物だった。
低音はずっしりと、はっきりと。高音は煌びやかで、丸い音。
「一皮剥けた」という表現がぴったりだった。世界で使われている所以がわかる、そんな音に変わっていた。
モニターヘッドホンとして、低音から高音まで癖がなく、素直に音を出してくれる。言葉にするのは難しいけれど、「いい音」というのを耳に直接届けてくれる感覚。
夜の11時、仕事終わりにデスクに向かう。MDR-7506を耳に当てる。Logic Proを起動して、作りかけの曲を再生する。
音に包まれる瞬間。楽器のひとつひとつが、はっきりと分離して聞こえる。ギターの中域がどこで被っているか、ベースの低音がどれくらい出ているか。
安物のヘッドホンでは、こうはいかなかった。
この15時間の「育てる過程」が、僕とこのヘッドホンの関係を変えた。
用途別レビュー:DTM・DJ・リスニング
DTM・ミキシングでの使用感
これまでの安物ヘッドホンでは、ミキシングがまともにできなかった。
どこかの帯域が大きすぎたり、小さすぎたり。他の環境で聴くと、まったく違う音になっていることがしょっちゅうだった。
MDR-7506に変えてから、その問題が解消された。
全ての音がフラットに聞こえる。楽器ひとつひとつがちゃんと分離していて、どんな音で、どれくらいの音量で、どこから出ているかが分かる。
仕上げにWF-1000XM4で確認しても、楽器のバランスがいい。ミキシングの精度が、明らかに上がった。
夜の作業時間が、「試行錯誤」から「確信を持った制作」に変わった。これだけで、約1万円の価値がある。
DJ(Serato DJ Lite)での使用感
週末の夜、Serato DJ Liteを起動してDJ練習をする。
MDR-7506は、DTMだけでなくDJ用としても優秀だった。
少し低音寄りの音質が、BPMを合わせる作業をしやすくしてくれる。キック音がはっきり聞こえるから、ミックスのタイミングを掴みやすい。
モニターヘッドホンとDJヘッドホンを兼用できる。この「万能型」というのが、MDR-7506の強みだと感じる。
リスニングでの評価
正直に言うと、リスニング専用としては向いていない。
モニターヘッドホンなので、聞こえてはいけない音(ノイズ等)も聞こえてしまう。音源の粗が気になってしまうことがある。
ただ、ドンシャリ傾向なので、エージング後は音楽を楽しむこともできる。リスニング専用が欲しいなら、リスニング用ヘッドホンを別に買った方がいい。
でも、DTMの合間にちょっと音楽を聴く程度なら、十分すぎる。
赤帯 vs 青帯——どっちを選ぶべき?
比較表:MDR-7506 vs MDR-CD900ST
| 項目 | MDR-7506(青帯) | MDR-CD900ST(赤帯) |
|---|---|---|
| 再生周波数 | 10Hz〜20,000Hz | 5Hz〜30,000Hz |
| ハイレゾ対応 | × | ○ |
| 標準プラグ | 3.5mm | 6.3mm |
| 価格 | 約11,000円 | 約16,000円 |
| 音質傾向 | ドンシャリ(低音・高音強調) | フラット |
| 用途 | DTM、DJ、リスニング | スタジオモニター専用 |
| 世界標準 | ◎(海外で広く使用) | ○(日本国内標準) |
青帯を選ぶべき人
- MacBookに直結したい人(3.5mmプラグ標準)
- DTMだけでなく、DJやリスニングにも使いたい人(万能型)
- 予算を抑えたい人(約11,000円)
- 「世界標準」を約1万円で手に入れたい人
赤帯を選ぶべき人
- スタジオ専用で使う人(日本国内標準)
- ハイレゾ音源をモニタリングしたい人(5Hz〜30,000Hz)
- 完全にフラットな音質が必要な人
- 6.3mmプラグの環境が整っている人
僕の結論:MacBookでDTMをやるなら、青帯一択。
変換プラグなしで直接挿せる単純さ、DTM・DJ・リスニングの万能型、そして約1万円という価格。赤帯を選ぶ理由が、僕には見つからなかった。
偽物に注意!正規品の見分け方
ここで、大事なことをお伝えしたい。
開封直後の音質が悪いのは、偽物だからではない。
僕も最初は「偽物を掴まされたのでは?」と不安になった。でも、これはエージング前の正常な状態。エージング後に劇的に変わることを知っていれば、焦る必要はない。
正規品の特徴
- 青帯ステッカー:ハウジング外側に「Professional」と書かれた青いステッカーが貼られている
- パッケージ:Sonyの正規ロゴと製品番号が記載されている
- 価格帯:約11,000〜12,000円(異常に安い場合は要注意)
- 付属品:3.5mmプラグ、6.3mm変換プラグ、カールコード
信頼できる購入先
- Amazon(正規販売店から購入)
- 楽天(正規販売店から購入)
- サウンドハウス(音楽機材専門店)
価格が5,000円以下など、相場から大きく外れている場合は偽物の可能性が高い。購入前にレビューで「偽物だった」という報告がないか確認することをおすすめする。
まとめ——世界標準の「青帯」と暮らす
いかがだったでしょうか。
今回は、Sony MDR-7506(青帯)を1週間使用してレビューしてきました。
開封直後は「偽物かも?」と不安になったけれど、15時間のエージングを経て、一皮剥けた「本当の青帯」の音と出会えた。
この体験こそが、MDR-7506の真の価値だと思う。
夜の11時、仕事終わりにデスクに向かう。MDR-7506を耳に当て、Logic Proを起動する。音に包まれながら、確信を持ってミキシングを進める。
カールコードを伸ばして、部屋の端にあるギターを取りに行く。ヘッドホンを外さなくていい、この小さな便利さ。
青帯のデザインを眺めながら、「世界標準のモニターヘッドホンを所有している」という満足感に浸る。
これが、MDR-7506と暮らす日常。
約1万円で、世界標準を手に入れる。エージングで育てる、あなただけの青帯。
10年後、このヘッドホンはまだ僕の側にあるだろうか。
答えは迷いなく、「YES」だ。
このヘッドホンに向いている人
- MacBookでDTMをやる人
- DTM、DJ、リスニングの万能型が欲しい人
- 「世界標準」を約1万円で手に入れたい人
- エージングで「育てる」体験を楽しみたい人
このヘッドホンに向いていない人
- ハイレゾ音源をモニタリングしたい人
- リスニング専用で使いたい人
- エージングする時間を取れない人
- 開封直後から完璧な音を期待する人
購入リンク
【Sony MDR-7506】
- Amazon:約11,700円
- 楽天:約11,180円
- サウンドハウス:約11,000円
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それではまた次回。
皆様のコメントやDM、お待ちしています。
Mono Drip Journal 編集部

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